2020年1月29日

Powerbeats Pro を4ヶ月使った感想

2019年9月のはじめ、Apple京都で念願だった Powerbeats Pro を買いました。
そして今(この記事を買いている時点で)ヤフオクに出品中です(笑)

念願だった理由〜使用中の不満点、Powerbeats Pro を手放すに至った新たな製品の登場…
そんな個人的なレビューを包み隠さずお届けします。

先ずは Powerbeats Pro を購入する直前の状況を踏まえ、これらの理由について説明しましょう。

割と音楽と音響にうるさい方なので、イヤホンやヘッドホンは色々持ってます。
ここでは(完全)ワイヤレスイヤホンについてのみ書いていくことにします…

Powerbeats Pro を購入する以前

Amazonのタイムセール時に3000円で購入したメーカー不明の完全ワイヤレスイヤホンを使ってました。

音質は良い悪い以前の問題

電源を入れてから接続するまでそこそこに時間がかかる
通話の音質がめちゃ悪い(特にマイクはいまいちらしく、相手にこちらの声が聞こえづらい様子だった)

他にも動画見るには遅延が大きいし、人が多い場所では途切れやすかったり。ワイヤレスイヤホンでよく有る問題も有りました。
とはいえ、ケースのサイズは気にならない程度に小ぶりだったし、なにより3000円という価格を考えると全てが許せました。
むしろ、バッテリーはイヤホン単体で2時間程持ったしケースも2〜3回充電できて、基本的に電池切れで困らなかった点は評価してました。
まぁ、お気に入りの Pink Floyd の The Dark Side of the Moon を聞いていた時に、ギターとキーボードが左右逆に聞こえた時は流石に驚きました(笑)
ちゃんと本体には L・R の表示が有るんですが、チャンネルが入れ替わっちゃってるみたいでした。

先ずはAirPods が欲しくなった

自分は仕事柄、日中頻繁に電話連絡を受け取ります。
その為以前より有線のゲーミングヘッドセットを使ったりしてきましたが、一言で言ってコードが煩わしく思ってました。
あと、ハンズフリーは基本的に嫌いです…

そんな環境の中で Apple AirPods に興味をそそられました。
特に、
  • Apple 独自チップによって接続が早いらしい
  • MacBook、iPad、iPhoneなどの端末間でシームレスに使えるらしい
という2点は、前述の環境の中でのベストプラクティスだと直感しました。
しかし、AirPods の導入を阻む問題がありました…

絶対に AirPods がはまらない耳の形

写真はAirPods Pro

本当に理不尽だと思う。
iPhoneに付属の EarPods なんて1度も使った事が有りません。
一応、何度か耳に付けて見たことは有りますが、「落ちそう」とかいうレベルじゃ有りません。はまらないんです
正直、相当変な形をしてる自覚が有ります。
昔からカナル型以外のイヤホンは基本的に、、というかカナル型しか使えませんでした。
その他にも Shuer SE215 みたいな形のイヤホンも使うことができない。カナル型でも、左右でイヤーチップを変えたり、それでも左耳は常に密閉感が有りません。。
唯一絶対のつけ心地を誇ったのは、Klipsch X10 にコンプライを合わせた物だけです。

そんなわけで、AirPods は生涯縁のないガジェットで、したがってApple独自チップによるAppleエコシステムの恩恵を受ける縁も無いのでした。。
そう、Powerbeats Pro が現れるまでは

AirPodsが絶対にはまらない人間への唯一の希望

Powerbeats Pro は運動などのアクティビティーのお供としてプロモーションされています。
しかし自分にとっては AirPods のカナル型イヤホン版 の他ならぬ存在に見えました。

カナル型が必ず自分の耳に合うわけでは無いことは前述の通り。
しかし、 正常な形の耳を大量にサンプリングして作られたあの変な形のAirPodsよりは、比べるまでもなく自分の耳にもはまるはず。
少なくとも、刻々とずり落ちていくあの嫌らしい感触とは無縁のはず。

しかし喜ばしいことばかりでは有りませんでした。
なにせ、 AirPods と機能が変わらないくせに1万円も高いです。
ノイズキャンセリングも、Qiも無い、ただの フルワイヤレスイヤホン。
せいぜい、必要性のわからない変な“イヤーフック”が付いてるくらい…あとは汗に耐えられる程度の軽い防水性。
はっきり言って AirPods が使える人がわざわざ買う意味は皆無でしょう…百歩譲ってラニング中にずり落ちてくるには向いてるかもしれません。それでも1万円も余計に支払いますか…?
それでも自分にはこれしか選択肢は残されていないのです。
厳密に言えば、Powerbeats Pro が発売された時点で、1世代前の Apple W1チップ を使った Beats Solo3 Wireless と Beats Studio3 Wireless は存在しました。
しかし Solo3 はオンイヤー故につけ心地に難が有り、Studio3 は魅力的ではあったものの、Powerbeats Pro の方がまだまだ安いですから、結果的に Powerbeats Pro が消去法的に残されました。

満を持して購入

流石に安い買い物では無いのでだいぶ慎重になりました。
出社日に時間を作り、 Apple Store へ行き、実物を貸していただき実際に耳にはめて、イヤーチップも各サイズ試した上で、購入に至りました。

Powerbeats Pro 4ヶ月レビュー

お待たせしました…ついに本題です!
2019年9月から4ヶ月と…もう少しでまるまる5ヶ月になりますが、感じたことは、、
  • 確かに、繋がるのが早い!
  • 端末間の切り替えも早い!
  • 人混みでも安定している!
  • 通話時のマイクがめっちゃクリア(らしいw)
  • イヤホン単体でのバッテリー持ち時間がすごく長い!!
  • 充電も早くて、無限に通話できる(笑)
と、喜びたいところですが、
  • ケースでかすぎ
  • 価格相応の価値があるとは思えない
  • イヤーフックはメガネと相性が悪いかもしれない
  • 耳穴の形が歪な人には結局合わない
と、個人的ですがマイナス面も有ります。

いい点で言えば

冒頭に書いた通り、ケースから出して通話をすぐに受け取れる点はめちゃくちゃ快適だし、こういうスマートな生活(ガジェット)に憧れてた感じがあるので、すごく気に入ってます。
また、Mac・iPad・iPhoneを同時に使用しているので、切り替えが速やかで安定しているのは本当に便利。
iCloudでペアリング情報を共有してくれるので、無意識に端末を切り替えられるのもいいですね。
音楽再生などの音質は“そう言う向き”のイヤホンではないので評価する気は有りませんが、当然3000円のワイヤレスイヤホンのような酷い音な訳がなく(笑)、何よりもマイクの音質がめちゃいい点は、妥協しないApple譲りのこだわりを感じると同時に、通話メインの使い方の自分にとっては大変ありがたい点でも有りました。
余談ですが、友人の WF-1000XM3 と通話したのですが、マイクの音質は酷かったですね(^^; まぁあちらはリスニングに特化してるという事なんでしょう。。
そして無意識でしたが驚かされたのは電池の持ちと充電の速さ、そして真の完全ワイヤレスのなせる技 片方だけ使える という点です。

最近、友人と長電話する事が多く、2〜3時間は当たり前、長い時は7〜8時間近く話してたこともありました(バカだねw)
イヤホン単体でも4時間は余裕でバッテリーが持ちましたし、残り10%になると残量警告音が鳴りますが、ここで片方だけケースに戻すと、残りの片方がスッカラカンになる前に30〜40%程まで回復してくれます。
そして入れ替えて片側ずつ使うことにより、10時間以上使う事ができるでしょう。ケースを充電し続けていれば無限に通話可能でしょうね。
しれっと“片側ずつ”と書いてますが、これこそ本当の完全ワイヤレスだからこそなせる技なんですね!
いつも長電話が終わった後に実感し、感心します。

と、褒めちぎってみましたがど頭に書いた通り、売りに出すほどに愛想が尽きました。

致命的な理由は…

先ず、ケースがでかい
ポケットにいれてたく無いですね。
そしてカラビナでぶら下げられる数少ないアクセサリーも買ってみましたが、やっぱり大きく重量もそこそこあるので邪魔の他ありません。。
コンビニやスタバでぽろっと外してサッとケースに戻す。。そんなスマートな生活を憧れてたのに…
まぁ、イヤホン本体も大柄なので幸い片方だけ無くすリスクも低いと思われます(苦笑)
AirPods との比較
数少ないアクセサリー

そして、やはり何度使っても、何日経っても、AirPods の1万円分の価値・性能・機能を見出せませんでした。
そもそも、AirPods を使ったこともないし、運動もしません(運動や作業中にはanbieを愛用しております)ので、自分の評価は本来の製品コンセプトからすると妥当ではないかもしれません。
とは言えですよ、アクティビティートラッカーが付いているとか言うわけではないし、水泳できる程の防水性があるわけではない。AirPods や EarPods でジョギング・ランニングしてる人だって居るわけですよ。
マジ意味わかんねー

イヤーフックに関しては、、、少なくとも自分の使い方では恩恵は一切有りませんでした。
それどころか、メガネのツルと干渉してちょうどいい装着感を得る事ができませんでした。

そして致命的だったのは、左耳だけぴったりハマらない事でした。
何度も繰り返しているように、自分の耳穴の形は相当歪なようで、カナル型のイヤーチップでも、ドライバーの大きさや位置関係によってぴったりハマらない事がわかりました。
最近のイヤホンは低音をブンブン言わせるため、外耳に収まりきらないほど大型のドライバーを搭載する傾向が見られます。
当然、低音イケイケな Beats 製品である Powerbeats Pro も外耳と外耳道の間にある窪みと言うか、ちょっとひらけた空間に大型のドライバーをおさめるような設計がされています。
残念ながら自分はこの空間が小さく、ドライバー部分が外に押し出される形になり、結果イヤーチップが常に半分くらいしかはまらない状態になってしまいました。
そのため、汗ばんでいたり、通話中に口を動かしているうちにだんだんと外れていってしまうのでした。。。

通話中、数分に1回指で押し戻して上げなければならないし、音楽を聞いていても左だけ密閉感がどんどん無くなっていく(低音がスカスカになってく)。
さらに悪いことに、「耳につけると自動再生・外すと自動停止」する機能のおかげで、この半分しかはまっていない状況が非常に際どく判定され、ちょっとずれるだけで音楽が止まってしまう事が多発。めちゃくちゃイライラします。

わざわざ AirPods より 1万円高いお金を出して買った Powerbeats Pro は、結局自分の耳にフィットすることなく“便利なヘッドセット”として使うのが精一杯でした。
便利なヘッドセットならカー用品市場にいくらでもありますよ。。それこそ3000円でいくらでも選べます。。

それでも、右耳にはフィットしてましたし、基本的には“便利なヘッドセット”として使う時間の方が長かったので、まだ買い換える程の気持ちにはなりませんでした。
アレが出るまでは。

最悪の知らせ AirPods Pro 発表

何気に2019年で一番ショックだったかもしれません。
9月に買って、1ヶ月経たないうちに AirPods Pro が発表されてしまいました。
とは言え AirPods Pro もまた自分の耳にハマらないことはわかっていました。
“正常な形の耳”を何万人サンプリングしようと、異常な形の耳にはまる事などあり得ないのです。

それよりも悲しかったのは価格です。
AirPods Pro と Powerbeats Pro の価格差はたった3000円です。

3000円です。

アダプティブノイズキャンセリング と、アダプティブイコライゼーションが加わって、Powerbeats Pro より3000円高いだけ。

AirPods Pro と AirPods の価格差は1万円もあります。
アダプティブノイズキャンセリング と、アダプティブイコライゼーションが加わって1万円値上がりするなら、その価格差に意味を感じます。
Powerbeats Pro は、、何も無い。イヤーフックと、わずかな防水性と、巨大なバッテリー。そこに1万円もするんだ。。。

マジ意味わかんねー

本当に、Powerbeats Pro の存在意味がわからなくなった瞬間でした。

AirPods Pro の影に隠れた名品

実は AirPods Pro と同じタイミングで発表された Beats 製品がありました。
Beats Solo Pro です。

Beats Solo Pro は、“AirPods Pro のヘッドホン版” のような製品。
アダプティブイコライゼーション は無いものの、アダプティブノイズキャンセリング搭載。
もちろん Apple H1チップ搭載で、接続・切り替えはスムーズ。Powerbeats Pro で気に入った部分はおおよそそのままです。

ただ問題は、オンイヤー型である事。そしてより高い価格…

オンイヤーは基本的に苦手です。
SONY の MDR-CD900ST や MDR-7506 は好きで結構使ってますが、メガネをかけていることもあり、どうしても長時間使用すると耳のどこかが痛くなってしまいます。
それから、既存の Solo に良いイメージがありません。
何度かお店で Solo を着けてみた事が有りますが、その度に3分と着けていられる気がしませんでした。
フィッティングは悪く密閉感が無く、そのくせ側圧が強く、誰がこんな物買うねん! と速攻で棚に戻していました。
(余談ですが初代 Beats Studio は側圧は強いわりに、贅沢なイヤーパッドとオーバーイヤー型が気に入ってて結構使いました)
そのため、この時点ではそもそも購入対象として考えていませんでした。

一目惚れならぬ“一耳惚れ”

転機になったのはiPhoneのバッテリーの問題で Apple Store へ行った事でした。
iPhone の問題自体は解決しなかったものの、せっかく訪れた Store 内を少しうろつき、視界に入った Solo Pro を耳に当てた瞬間…

アクティブノイズキャンセリングの製品自体はかなり昔から使ってきました。
イヤホン型、ヘッドホン型。
個人的にはアクティブノイズキャンセリングよりも、物理ノイズキャンセリングが一番という結論に至り(笑) 高速バス等の移動時は Klipsch X10 にコンプライのイヤーピースを着けたものを耳栓がわりに使っています。(モルデックスの耳栓よりずっと良い)
最近の BOSE の QCシリーズ など、アクティブノイズキャンセリングもかなり優れていることは知っていましたが、Solo Pro はなんというか“自然な感じ”を受けました…

特に驚いたのは、外音取り込みモードにした時の自然さ。
本当に不自然さが無く、ヘッドホンに穴が空いたような感覚で、一瞬(本当に初めて切り替えた瞬間)鳥肌が経ちました。
それでいて、音楽は外音の雑踏の中にちゃんと存在している…
改めてノイズキャンセリングモードに戻してみても、違和感が無い感じ…あくまで周りが静かになったような。

そして何より、めっちゃ着け心地がよかった
数分着けただけだったけど、これなら数時間着けていられるかも…と思えてしまった。
側圧は確かに強い。しかし、イヤーパッドがよくできているのか、とてもフィッティングがよかった。

音も好みだった。
昔のような、高音を絞って低音(笑)とか言ってる感じでは無く、ちゃんとした音だったし。
モニタリングヘッドホンとは違う、リスニングに向いた音作りで、密閉型のぎゅっと詰まった感じの音(自分の感覚)。
これで好きな Rock や EDM を聞いてみたい。そう思える音だった…

家に帰ってからも、しばらく Solo Pro のあの感じを思い出してた。
なにせ、目の前には常に Powerbeats Pro が有るのだから、Powerbeats Pro を見るたび Solo Pro に入れ替える事を考えていた。
値段と、かさばる大きさに悩みつつ、、とある悩んだ夜中にとうとう注文してしまった

Beats Solo Pro 最高!

Solo Pro が届いて2〜3日はオンイヤー故の装着感に少々戸惑った。
流石にメガネのツルの部分が痛くなった。。
しかし良い場所を見つけてからは、もう何時間でも着けていられるようになった!
ノイズキャンセリングも外音取り込みも普段は必要では無いので、バッテリーは無限に感じられるほど長持ちしてる。
そして Powerbeats Pro では音楽を聞くことは殆どなかったが、今は部屋にいても Solo Pro で色々聴きまくってる。
この音作りになかなか魅了されてしまったようだ(笑)

実はまだ1週間も使ってないのだが、、今後高速バスを使った長距離移動や、事務所での使用が控えてる。
高速バスでのノイズキャンセリングの効き具合や、事務所で外音取り込みモードを使って、他の社員に呼びかけられた時に反応できるか。。色々試してみたいことが有る。

普段、何か新しいガジェットを買っても取り立ててレビューなんてしないのだが、この流れで相当 Solo Pro を気に入れば(あるいは致命的な欠点に遭遇した時)また長ったらしいレビューを書くかもしれません。

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